vol.7 宇治茶農家の食卓と食べて美味しい「てん茶」の秘密
東は静岡、西は宇治茶と言われる西日本を代表する宇治茶だが、実は宇治茶の半数は宇治市ではなく、京都府南部の和束町で生産されている。住宅地や平原が多い宇治に対し、和束では森に囲まれた山の急斜面いっぱいに茶畑が広がり、お茶畑のなかに浮かぶように集落が点在している。2015年にはお茶畑のある暮らしの風景が「日本遺産」に認定され、農家民宿や飲食店も次々にオープンし、お茶がより身近に感じられるようになった。
和束には、「てん茶」と呼ばれる抹茶の原料となるお茶を生産する茶農家が多いのが特徴だ。抹茶アイスクリームや抹茶オレなどで身近な存在になっている抹茶だが、パウダーに挽かれる前のてん茶はあまり流通しないため、手にする機会はめったにない。最近では、「水出してん茶」と言って、てん茶の葉を水に浸して一晩冷蔵庫に置いておく飲…