台湾の電鍋を使ったことはあるだろうか。日本でも、誠品書店や神農生活でカラフルな電鍋が並んでいるのを目にしたことがあるかもしれない。電鍋は1950年代に日本の東芝が開発した電気釜がモデルとなっていて、スイッチ一つで「蒸す、煮る、炊く」が完結する。60年間変わらないシンプルさが特徴だ。台湾では嫁入り道具の一つに数えられ、平均一世帯に1.7台所有しているという。
電鍋は、内釜と外釜の二重構造になっており、外釜に水を入れ、内釜に食材を入れる。水がなくなると自動的に保温に切り替わるため、ふきこぼれや煮過ぎで焦がしてしまう心配はない。複雑なマイコンを搭載した家電が多い日本で、電鍋のこのシンプルさはむしろ、懐かしくて新しい。Z世代を中心に、レトロなものへの回帰や、あえて不便を楽しむオフグリッド生活など、利便性を追求し…