毎年冬季休業中は、同行者を募り台湾や東南アジアで山岳民族の調査をしてきた。今年はそういうわけにも行かないので、2022年1月7日から24日まで、琉球の発酵と薬草を巡る旅に出ていた。
ちょうど沖縄で感染者が増え始めた関係で、同行者が誰も来られなくなってしまったのが残念だが、滞在先の北部は比較的落ち着いており、楽しいお話をたくさん聞かせていただくことができた。訪問記録は後述のE-BOOKにてまとめているが、ニュースレターでは、その一部を抜粋してご紹介したい。
ぬちぐすいと食養
「ぬちぐすい」という言葉を耳にしたことがあるだろうか。元気になるほどおいしい食べ物を表す命の薬だ。沖縄の食文化は、台湾や中国南方とよく似ている。琉球王朝時代の交易で、さんぴん茶を代表する発酵茶、黒砂糖、豆腐の製法、ゴーヤ、レイシ、うこん…