「食」と「布」は一見遠い存在かもしれないが、植物を暮らしに取り入れるために古くから伝わる知恵や文化には、共通の思想が流れているような気がする。
栽培から収穫、織りまで、季節の変化に応じて植物と向き合う、「耳を傾ける」姿勢。ここから現代の私たちが学べることはなんだろう。
そんなことを考えながら、福島県・昭和村で「からむし」という植物と向き合う、「渡し舟 ─わたしふね─」の渡辺悦子さんと舟木由貴子さんにコンタクトをとった。
からむしは、苧麻(ちょま)とも呼ばれるイラクサ科の多年草で、上布の原料として使われる。渡辺悦子さんと舟木由貴子さん2人のユニット活動である「渡し舟」は、そんなからむしを通して村の内と外をつなぐ活動で、2015年に活動がスタート。昭和村の女性たちによって地機(ジバタ)織された布を現代の生活に適…