私は今まで、「ならいごとの旅」というテーマで同行者を募りつつ、毎年数回台湾に渡航してきた。台湾茶や原住民族の発酵文化、手仕事や薬草を実際に訪ねながら学ぶ企画だ。コロナ直前の2020年1月も、ツアー企画の調整のために渡航し、大統領選最中の熱狂に包まれた台湾で時を過ごしていた。
台湾の屋台で必ず見かけるのが、苦茶、仙草ゼリー、烏梅の入った酸梅湯だ。生薬屋が軒を連ねる迪化街は観光地としても有名だが、まちなかの商店や露天でも、普通に薬草が売られていたりして、台湾における薬草と人の距離の近さに驚く。台北最古の寺・龍山寺の奥には青草巷という小道があり、知る人ぞ知る薬草市場だ。
夏の暑い時には、さっぱりした青草ジュースや、酸味の効いた酸梅湯。冬の寒い時には、血流をよくする生薬がたっぷり入った四物湯。四神湯。自律神経のリ…