筆者は、2013年あたりから仲間を募り、農山村のおばあちゃんの知恵を訪ねて「聞き書き(話を聞いて書き綴ること)」をしてきた。50~60代の親の世代には、高度経済成長の恩恵を受け、すでに知恵は受け継がれていなかった。聞き書きの対象は80~90代のおばあちゃんたち。そして、フィールドワーク先でご一緒させてもらったメンバーは、研究者でも大学の先生でもなく、昔の手仕事や食文化にただ関心のある若い世代の人たちだった。
ある人は布について熱心に聞き取り、ある人はお産について、ある人は農業のことを聞いていた。民俗学は、大学で勉強するものではなく、暮らしの中で実践しながら学ぶ、民間人による民間の研究なのだなと思った。
今回は、昔ながらの発酵食や世界各地に古から伝わる食文化の研究を岩手でされている、内田華子さんにインタビュ…