米、麦、粟、黍、豆。いわゆる「五穀豊穣」の「五穀」は、アジアの食文化において重要な役割を果たしてきた。中国では「五谷」という。ブータンとインドでは、ひよこ豆、レンズ豆、ムング豆、ホースグラムなど豆の種類が加わり、「9つの穀物」を意味する言葉もある。インドでは「Navdanya(ナヴダーニャ)」、ブータンでは「Druk-na-gu(ドゥルナグ)」と呼ばれ、プジャ(礼拝の儀式)の時に捧げられる神聖な作物だ。
今回は、豆を使った発酵食品についてご紹介したい。大豆の発酵食品には、vol.21で紹介した麹を添加した「豆麹」の他に、枯草菌を添加した納豆、クモノスカビを添加した「テンペ」がある。その枯草菌やクモノスカビを採集する植物は、各地域の気候や食文化によって異なり、風味もさまざまだ。
世界の多様な納豆文化
納豆菌(…