香辛料と言うべきか、野菜と言うべきか。南米原産の唐辛子は、韓国やブータン、中国、インド、スリランカ、タイを始めとする地球の裏側のアジア各地まで旅をして、今では各地域の食文化に欠かせない食材として定着している。唐辛子の主要養分であるカプサイシンには体を温める効果に加え、逆に熱を発散する効果があると言われ、東南アジアの暖かい国から、ヒマラヤなどの寒い高地でも受け入れられてきた。
これほど多くの地域に浸透しているため意外に思われるかもしれないが、実は唐辛子の伝播は、比較的新しい。唐辛子伝播のきっかけは、コロンブスの新大陸発見(1492年)だと言われている。原産地域である南米の現地住民に「アヒ」と呼ばれていた唐辛子を、コロンブスはヨーロッパに胡椒の一種として紹介した。英語で唐辛子が「chili pepper」と…