世界には実に多様な発酵食がある。地中海地域に生息する青カビを利用するチーズ文化、ワイン酵母を利用するワイン文化、そして、麹カビを利用する味噌、醤油、酒の文化。地域の気候と土壌に適した作物体系、そして、土着の菌の生態系との関係性で成り立つ複合文化が、発酵食だ。
乳酸菌のなかにも、低温を好む菌、高温を好む菌がいる。仕込みのシーズンによっても菌の働きは違ってくる。作物が好む土壌や気候、また、土着の菌たちが好む生育環境など、気候と土と菌の関係性が人の味覚や嗜好にも影響を与え、食文化が形成されてきたとも言える。
気候と土壌と菌の生態系に育まれた発酵文化の代表が、お漬物だ。
発酵家として活動するKalen Solomon氏の著書 に 『Asian Pickles』という本がある。日本で英語教員をしていたこともある彼女は…