世界を変えた麦の栽培化と「シュナの旅」
お米の原種「ルフィポゴン」、とうもろこしの原種「テシオント」、粟の原種「ねこじゃらし」。作物はみな、もともとは雑草だった。麦の野生種「一粒小麦(アインコーン)」は西アジアの1万年前の遺跡から出土している。押し麦、パン、麺、ビールなど、土壌や気候、文化などに合わせ、麦は様々な形で世界中に伝わった。
ジブリ映画の原点とも言われる宮崎駿監督の「シュナの旅(1983)」は、小国の王子が黄金の穀物を求めて旅をする物語だ。作物が育たず、飢えに苦しむチベットの小国の王子シュナは、民を救うため「黄金の種」を探して西へ西へと旅する。数年後、奴隷を売買する町のバザールで黄金の穀物を発見するが、これは発芽しない「死んだ種」であった。昔は人間が自分たちで種を採り保存していたが、種が育たなく…